IT指標とKPI

IT戦略計画プロセスにおいて必須となるトップ10のITメトリクスとKPI

IT指標/メトリクスとは​

IT指標は数値化できる測定基準です。ITリーダーがIT業務を効率的に管理する上で役立ちます。従来は運用に関する指標が多かったですが、現在のIT指標には、IT投資をビジネス戦略、顧客体験、クラウド最適化に一致させる効果もあります。IT指標は、CIOがテクノロジーの価値を判断し、ITパフォーマンスの信頼性を構築する上でも役立ちます。

CIOは、ITがもたらす価値についての対話を主導し、ITの影響力と戦略的な役割を向上させることができます。パフォーマンスを測定して判断材料として使用し、ステイクホルダーとの関係を改善して、ITから新たな価値を引き出すことができます。指標を明らかにすることによってステイクホルダーとの関係構築が補完され、ITリーダーと事業部門幹部の関係は、戦略的なパートナーシップへと進化します。

ITリーダーは、IT指標の定義、測定、レビューを通じて、テクノロジーがビジネスにもたらす価値を伝えるための対話の基盤を築くことができます。こうした対話を促進するために、TBM Council(CIOによるIT部門経営の支援に特化した非営利組織)は、IT投資、パフォーマンス、デリバリーを評価するための各種指標を確立しました。

「IT部門は、ビジネスの成長とイノベーションを支援するために、適切な額の投資を行っているか?」 この質問に答えるために、CIOは、IT総コストのうち、ビジネス維持のためのランニングコスト、現行のビジネス拡大を支えるプロジェクト支出、新たなプロダクトや新たな市場に合わせたビジネス変革イニシアチブへの戦略的支出の割合を計算し、追跡する指標を用います。CIOは、これらのカテゴリーに分類される変動/裁量支出の割合もチェックします。

「IT部門は、ビジネス需要、戦略、市場の変化に迅速に対応するための財務的なアジリティを備えているか?」 ITファイナンスアナリストは、この質問に答えるために、IT総コストに対する変動支出の割合を確認します。その結果、コストとビジネス需要の整合性を高めるために、固定資産と変動リソースのバランスをどこで取るべきかがわかります。「ITコスト構造が固定費に偏っていないか?」 「オンデマンドかつ変動型のベンダーリソースや外注サービス(クラウドなど)を利用できるのはどの部分か?」

「どの領域でコスト最適化が期待できるか、そしてその浮いた資金を技術負債にあてる、ビジネスが求める新たな機能に再投資することができるか?」 インフラ&運用管理リーダーは、最適化が期待できる領域を絞り込むために、データセンター、コンピューティング、ストレージ、ネットワーク容量に関連する使用量と総コストを常に把握する必要があります。総コストを使用量で割って単価を計算し、その単価効率を評価し、ベンチマークや代替サプライヤーと比較できます。 

IT投資と優先順位は、ビジネスの方向性に合致しているか? 重複しているものや利用率の低いものはどれか? 廃止すべきアプリケーションはどれか? こうした質問に答えるには、アプリケーションのランニングコストと構築コストをすべて含めたポートフォリオ投資の比較表を作成することです。この指標により、インフラアプリケーションおよびサービス、ビジネス機能、外部の顧客対応サービス(あらゆるハードウェアやソフトウェア、人材、外部サービスを含む)の総コストを確認できます。さらに、支出額を使用量で割って単価を計算すれば、複数の代替リソースの相対的な効率を明らかにすることができます。

「前年に比べてITコストを削減するために、利用部門に自らの消費行動とITコストとの関係を理解させるには、どのような支援を行うべきか?」 ビジネスリレーションシップマネージャーがこの質問に答えるには、各利用部門のITコストを把握し、サービスごとに分解することが必要です。この指標では、使用量とそれに伴う単価がわかります。

IT指標はどのように追跡するか​

データは、IT指標を把握し追跡するための根幹であり、あらゆるプログラムの土台となるものです。優れた指標を使用するには、適切なソースを特定し、適切なソースデータカラムを統合し、フォーマットを一致させる必要があります。

どのデータが必要か

多くのITチームは、組織のさまざまな担当領域から得られるデータソースのうち、3-5種類からスタートします。以下は各分野のデータソースの一例です:

  • 財務: 総勘定元帳、固定資産台帳、勘定科目一覧、予算
  • テクノロジー: サーバー、ネットワーク、クラウドプロバイダー、ストレージ、CMDB
  • ポートフォリオ: アプリケーション、プロジェクト、人件費、ベンダー
  • サービス: チケット、サービスカタログ

コストをどのようにカタログ化するか

タクソノミーを活用すれば、企業データとITコストを整合させることができます。そのために、Apptio TBM Unified Model™(ATUM™)では、TBM Councilが公認した業界標準のタクソノミーを使用しています。ATUMは、ITリーダーがテクノロジー事業を管理するためのコストモデルを標準化します。

ATUMのタクソノミーでは、ITとビジネス/財務用語を一致させて共通言語化し、マッピングルールに従ってコスト分類を自動化します。カテゴリーは、必要に応じてカスタマイズまたは拡張が可能です。また、あらかじめ定義された割当てルール(コストを消費情報に割り当て、運用データで重み付けするルール)でコストをルーティングする標準モデルも指定します。

さまざまなデータソースからコストを計算し、標準カテゴリーに分類し、指標に割り当てます。CIOは、ダッシュボードで指標を測定して一目で管理できます。ITリーダーとビジネスリーダーは、ダッシュボードを利用して、コストとパフォーマンスを週単位または1日単位で管理するために、必要となる指標データの取得と分析を効率的に自動化できます。

ダッシュボードは、状況の変化に合わせて進化できるようなデザインが理想的です。進化する指標とは、例えば次のようなものです。

例えば、IT部門は、最初の段階では、予定どおりにスタートしたプロジェクトの割合を確認できるスナップショットを取得するだけで十分だとします。この指標は、非常に基本的な「はい/いいえ」のデータポイントを収集するように構築されています。次のステップでは、予定どおりに完了したプロジェクトの割合を把握することです。このステップから、予定どおりに完了したプロジェクトの割合だけでなく、予算の範囲内で完了し、予定していたデリバリー範囲を満たしたプロジェクト割合を示す指標につながります。

IBM Apptioで提供されているApptioのCIOダッシュボードでは、TBM Councilにより公認され、大手企業のCIOや業界アナリストによって十分に精査された指標管理に対応した標準セットを用いています。このビューでは、利用部門、アプリケーション、インフラ、財務差異、パブリッククラウド別に、主要コスト指標の概要を経営幹部が必要なレベルで表示します。

IT指標はいつ使用するのか

IT指標は、IT部門の意思決定者が指標に注目したときに、初めて効果を発揮します。さまざまなオーディエンスやITパフォーマンスの側面について、IT指標の定期レビューを実施することが重要です。こうした定期レビューにより、チームは関連するインサイトを引き出し、適切なタイミングで適切に対処できます。

月1回のリーダーシップレビュー

CIOは、直属の部下から月1回情報を収集し、組織のパフォーマンスをレビューすることでメリットが得られます。このIT部門内での情報更新により、全員の認識を一致させることができます。議題としては、この1か月にITで発生した事象、各種KPIの傾向、対処が必要かどうかの判断などが考えられます。また、予算と実コストの差異状況や、支出予想に対する今後の影響なども含まれるでしょう。(Apptioは、この会議を行うベストプラクティスアプローチである「IT Leadership TBM Review」(ITLTR)を有しています。)

四半期毎のビジネスレビュー

四半期毎に、CIOとビジネスリレーションシップマネージャーは、ITサービスを利用している利用部門のパートナーとのレビューを実施します。このIT部門外との対話により、チーム間のすり合わせを促進できます。議題としては、IT部門が利用部門に提供する価値、利用部門の選択がITコストにどのように影響するか、将来のビジネス戦略に合わせてIT投資を調整すべき部分がどこか、に重点を置くものになります。こうしたレビューは、透明性を得るために不可欠です。ステイクホルダーとの信頼を築き、IT部門がテクノロジーを活用したビジネス戦略推進をするために望ましいパートナーとみなされるようになります。

年1回のプランニングプロセス

各年度の後期に入ると、ほとんどの利用部門は戦略的なプランニングプロセスを実施し、翌年の目標、戦略、戦術、投資内容を定めます。このプロセスにはIT指標が不可欠です。なぜなら、IT指標によって、IT部門の意思決定者は今年度の計画をどのようにして実現するかを把握でき、次年度に向けた計画調整のベースを得られるからです。この情報により、ITリーダーは戦略的なオプションの重み付けを行い、自信を持って的確な投資判断を下すことができます。

追跡すべきIT指標とKPIはどれか

ITコスト、パフォーマンス、出力を測定するための指標は、数千種類にも及びます。ただし、重要なのは量より質です。実際、指標が多すぎるとそれだけで圧倒されてしまい、生産的ではありません。そうではなく、トップダウンアプローチで指標を開発すれば、ITリーダーは重要なビジネス判断材料となるデータに集中できます。必須な情報に照準を合わせると、ITチームは特定の成果に対する影響を把握し、コミュニケーションしやすくなります。ApptioがCIOを対象に実施した調査において、ITをビジネスとして運営するための最適な指標の優先順位を尋ねたところ、次のようなカテゴリーが得られました。

基本的な財務指標

財務指標は、ITリーダーがテクノロジー支出/投資を追跡する際に有用であり、ITビジネス管理に不可欠です。各部署の財務健全性に貢献し、コスト削減、リソース割り当ての改善、説明責任の向上を達成するための手段を明らかにします。

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デリバリー指標

デリバリー指標は、プロジェクト実行の効果と、ビジネス向けサービスの継続的な提供を追跡します。これには、満足度調査、予算および完了の測定に加え、人材とリソースの調達戦略に影響するデータが含まれます。

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イノベーション&アジリティに関する指標

イノベーション&アジリティの指標は、ビジネス変化または変革に必要な投資優先順位を設定し、重要な投資領域を促進することを目的としています。ビジネス変革に重点を置いているITコスト、プロジェクト投資、クラウドなどの新機能へのテクノロジー投資をポートフォリオ別に確認できます。

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ビジネスバリューに関する指標

ビジネス価値の指標を使用することで、CIOはテクノロジー投資がビジネスにどのように貢献したか(または、していないか)を把握することができます。ビジネス機能、ビジネスゴール、収益に対するIT投資の増加による影響を追跡し、価値を分析します。

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IT指標における最大の課題は何か

質の悪いデータ

「十分なデータが揃っていない」。これはIT指標やKPIの導入を躊躇する際によく聞かれる言い訳です。正当性、整合性、一貫性、関連性はすべて、IT指標を設定し、分析と意思決定の促進を図る際に懸念されることです。質の悪いデータによる悪影響に対する懸念がある一方で、正しい指標の導入によって得られる最適化効果と価値だけでも、指標管理を始めるべき理由になります。

データは、利用しなければ改善されません。筋肉を強化するには日々運動で筋肉を使うことが必要であるように、データを改善するには実際にデータを使用する必要があります。データが完璧な状態になるまで待つべきではありません。データを活用しながら、完璧な状態に仕上げていくことが大切です。

言語の不一致

IT機能に共通言語となる可視化軸、タクソノミーを適用し、IT、財務、利用部門で共通認識を得ることは、IT指標をビジネスゴールと一致させる上で不可欠です。今日ある課題の1つは、多くの場合、CIOに提示されるITファイナンス指標が、総勘定元帳から取得された情報であるということです。説明責任を高めるには、ITチームがコストデータをIT部門と利用部門が理解できる言語に変換し、これをパフォーマンス向上へのモチベーションを高めるために使用することが重要です。理想としては、IT部門がこのデータを使用して投資に関してより適切な判断を行い、利用部門と協力して価値を効果的に伝達するとよいでしょう。

透明性にまつわる懸念

ITリーダーには「見せたくない秘密」があるものです。つまり、管理を改善すべき非効率な部分には光を当てたくないというわけです。一般的に、実状は2つの観点が考えられるでしょう。第1に、状況は当事者が思うほど悪くありません。ITリーダーは、疎データ(スパースデータ)環境においても日常的に合理的な判断を下しています。第2に、どのITにも知られたくない部分があります。弱点を突き止めて改善することは、ビジネスにとって望ましいことです。

分析のサイクル/かかる時間のラグ

データの新鮮さは、それ自体が重要な指標になります。ITチームが総勘定元帳(GL)を毎月(またそれ以上の頻度で)読み込んでコストを確認していれば、CIOは問題に発展する前に不具合を検出できる可能性が非常に高くなります。しかし残念なことに、指標は財務部門との調整が実施されるタイミングで評価されます。つまり、問題が急速に発展し、解決するにはすでに手遅れになっている段階でようやく評価されることが多いのが実情です。

クラウド導入が急速に進む中で、これは由々しき事態です。たった数日で、クラウド支出が制御不能になる恐れがあります。財務とのコスト調整まで三ヶ月待つことになると、予想外の支出が発生する可能性が高くなります。CIOは「クラウドに対して1万ドルの予算を計上したのに、今四半期の実際の支出は20万ドルに達している。どうして誰も検知できなかったのか?」と思うでしょう。

工数/時間のかかる作業

優れた指標を設定するには工数と時間がかかります。特に、ITコストや価値について正確な指標を計算するための専用ソフトウェアがない場合は、相当の負荷がかかります。多くの場合、スプレッドシートなどの汎用ツール、企業財務システム、BIシステムを使用して正確なIT指標を計算・報告しようとするものの、その算出や分析に苦労している、適切なアウトプットにするために多くの負荷がかかるという声をよく伺います。結局、新たな分析要求やビジネス変化スピードに対応できない不完全なモデルしか得られないことが多くなります。

ここにApptioはご支援できます。ApptioのSaaSベースのデータ分析アプリケーションの詳細をご確認ください。ITリーダーは、Apptioを利用して、テクノロジー投資の分析、最適化、計画、ベンチマーク比較を行うことができます。